近隣住人とのトラブルでもっとも多いのが騒音トラブルです。
相手が無意識だった場合などは、話し合いで解決できることも多いですが、中にはわざと騒音を出す嫌がらせとして行ってくる場合があります。
騒音による嫌がらせは、続けば続くほど精神的に追い込まれていきます。
平穏な日常生活を送れなくなってしまうことや、慢性的な睡眠不足で体調を崩すこともあり、耐えられずに家を引っ越さざるを得なくなるケースもあります。
今回は、騒音トラブルについて、騒音となる具体的な数字や相談先、相談のための証拠の取り方などの対策法を、詳しく解説していきます。
騒音による嫌がらせの相談をする前に、知っておかねばならないのが「受忍限度」です。
受忍限度とは、社会生活を営む上で、騒音・振動などの被害の程度が、一般的に我慢できるとされる範囲のことをいいます。
この受忍限度の基準音量を超えていなければ、裁判などで「騒音被害」として認められる可能性が低くなります。
受忍限度の音量については、主に自治体によって条例で規制が設けられています。
住宅地おおよその基準値は、
で設定されていることが大半です(※あらゆる音量は「dB(デシベル)」という単位で表示されます)。
40dB、50dBとはどのような環境なのかとピンとこない方もいらっしゃるでしょう。
40dBで図書館の中や、昼間の静かな住宅地程度。50dBで、静かな事務所程度だと考えてください。
主な生活音の音量は次の通りです。
「生活騒音の現状と今後の課題」(環境省)より引用
人の話し声でも、大声であれば数値は上がります。
これらの音量は実際の音量であり、マンションなど建物の壁を介することで、相手に聞こえる音量は下がります。
相談できる先として以下の5つが挙げられます。
最初に相談をしたいのは、その居住地に直接関係のある大家さんや管理会社、自治体です。
特にマンションの場合は、管理人や管理組合が設置されていることもあるので、そうした場所に相談するといいでしょう。
一戸建ての場合は、自治体に当たります。
大家さんや管理会社に相談しても嫌がらせがやまなかったときには、警察に相談するという手もあります。
ハードルが高く感じるかもしれませんが、近くの交番で話を聞いてもらえます。その際には、後述しますが、証拠を用意しておく方がスムーズに事情を伝えられます。
もし、騒音の程度が暴力的で身の危険を感じるようなときは、迷わず通報してください。
通報してもいい程度か悩ましいときには、警察相談専用電話「#9110」に相談してみましょう。
警察に相談しても、必ずしも動いてくれるとは限りません。
警察も頼れず、当事者間での解決が困難だと判断した場合、注意をしても相手が行動を改めてくれないような場合には、最終手段として弁護士に相談します。
弁護士が介入することで、円満な調停の設定や、法的措置を取ることが可能になります。
ただ、「弁護士はお金がかかる」と二の足を踏まれる方もいるでしょう。そういうときは、法テラスを利用してみてください。
法テラスは、必要に応じた制度等情報の提供や、相談機関への紹介、経済的に余裕がない家庭への無料相談や費用立替などをしてくれる支援センターです。
「騒音がある」という事実だけでは、何かしらの罪に問うのは難しいのが現状です。
ですが、音の大きさや頻度、その騒音によって被害をこうむっているといった証拠が提示されるときは、刑事罰に問うことができる場合があります。
騒音トラブルで刑事罰に問われる可能性がある罪は、
などが挙げられます。
一般的には、騒音によるトラブルは、刑事ではなく民事として争われることが多いです。
一時的な騒音であれば、マンションなどなら管理会社や大家さんから注意してもらうことで収まる場合があります。
しかし、嫌がらせとなれば、話はそう簡単ではありません。
警察や弁護士など法的な介入なしには解決できない可能性が高いです。
ですが、警察や弁護士などに介入してもらうためには、明確な「被害を受けているという証拠」が必要になります。
では、騒音による嫌がらせの状況をどう証明し、どう証拠を取ればいいのでしょうか?
騒音を録音すれば証拠になる、と考える人もいるでしょうが、これは証拠になりません。
録音したものを再生した際の音量と、実際に相手が出した騒音の音量が同じものであると証明できないからです。
なので、騒音の被害を証明するには、【騒音計】で音量を計測し、「騒音の数値化と日時、場所など誰から見ても騒音被害の発生していることがわかる証拠」を押さえることが必要です。
騒音計での測定は自分でもできますが、探偵に依頼するという手もあります。客観的な証明になると同時に、近隣で同じような被害が出ていないかを同時に調査することができます。
騒音の嫌がらせに遭ったときには、その日時やどれくらいの時間続くのかなど、詳細を記録しておきましょう。
警察や弁護士に被害を訴える際、また訴訟になったときに、役に立つ可能性があります。
近隣住人で同じように被害に遭っている人がいれば、証言を取っておくといいでしょう。
また、近隣にめぼしい人がいないときには、第三者に立ち会ってもらって証言を取っておくという手もあります。
騒音によってうつになった、睡眠障害になったなど精神的・身体的な病状がでているときには、病院で診断書を取っておくといいでしょう。
特に、慰謝料を請求したり訴訟を起こすようなときに、こうした診断書は大きな意味を持ちます。
いかがだったでしょうか?
騒音による嫌がらせをやめさせるには、どの相談先を選ぶにしても証拠を持っているかどうかで相談先の対処が違ってきます。
また、解決が長引けば、ニュースなどで見かけるような大きな問題に発展してしまうこともあります。
当社では、嫌がらせ調査のご相談もお請けしています。
電話またはメールから無料相談サービスがご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。