恐怖を感じるつきまといや、頻繁にかかってる電話や脅迫めいたメールなど、ストーカー行為は、被害者の精神をどんどん追い詰めていきます。
しかしかつては、被害者がどれだけ怖い思いをしていても、警察が積極的に対処することはありませんでした。
ストーカー行為は恋愛感情の延長線上に起こるケースが多く、あくまで民事的なトラブルの一種だという認識だったことが大きな理由です。
ですが、ストーカー行為は放っておくとエスカレートする傾向があり、最終的にニュースになるような大きな事件に発展してしまうこともあります。
この事件は、ある女子大学生が、元交際相手の男とその仲間たちから執拗な嫌がらせを受けた末に殺害されたものです。相談を受けていたにもかかわらず警察が対応を怠ったことなども問題視され、大きな社会問題となりました。
この事件をきっかけに、2000年11月24日「ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)」が成立、はじめて施行されました。
さらに、2013年、2017年に改正ストーカー規正法が施行されており、SNS上でのつきまといが規制され、罰則も強化されています。
また、2021年には三度目となる改正が施行されました。
ストーカー規正法は、悪質なストーカー・つきまとい行為を明確にした上で、それらに対する規制・罰則を定めたものです。
また、被害者に対する警察の援助なども盛り込まれています。
該当する行為や適応される規制・罰則について、詳しく見ていきましょう。
〈ストーカー行為〉
上記に挙げた「つきまとい等」に該当する行為を、同じ人に対して繰り返し行った場合、ストーカー行為とみなされます。
前項で挙げた「つきまとい等」や「ストーカー行為」があった場合、警察は加害者に対して、当該行為をやめるよう警告することができます。
また、被害の状況によっては、各都道府県の公安委員会から、加害者に対して禁止命令を出すこともできます。
さらに、警告や禁止命令だけでなく、罰則も定められています。
この他にも、ストーカー被害に遭われている方に対しては、防犯対策や被害拡大を防ぐためのアドバイスをしてくれます。
被害に悩んでいる方は、少しでも早く警察に相談しましょう。
参考:ストーカー規制法 警視庁
2021年(令和3年)に三度目となる改正ストーカー規正法が施行されました。
6月15日と8月26日にそれぞれ施行された法案の中では、大きく3つの行為が規制対象になりました。
これまでは住居や勤務先、学校など被害者の主な生活区域での見張りやうろつき行為が規制対象でしたが、具体的な場所の規制がなくなり、被害者が実際に今いる場所の周りも規制対象になりました。
また、連続して「文書を送る行為」も初めて規制の対象となりました。
これまでは電話・メール・FAXなどでメッセージを連続して送る行為は規制対象でしたが、手紙や文書(嫌がらせのチラシなど)の投函などは規制されていませんでした。
8月からは、承諾なしにGPS機器等を取り付けたり、GPS機器等を用いて位置情報を取得・記録する行為も規制対象になっています。
これらに該当する行為は警告・禁止命令などの対象になり、反復した場合はストーカー行為罪が適応されます。
令和2年、全国の警察が受けたストーカー事案の相談件数は、2万189件。
徐々に減少傾向にはあるものの、8年連続で2万件を超えており、ストーカー規制法違反での摘発は過去最多の985件を記録しています。
ストーカー規制法により警察も対応しやすくなったとは言え、全ての被害相談に対して十分に対処できるとは限りません。
相談の内容によっては、ストーカー事案として判断するには不十分な場合もあり、最低限のアドバイスしかできないというケースもあるでしょう。
そこで、ストーカー被害を警察に相談する際は、被害の具体的な内容とそれを裏付ける証拠を提出をすることで、警察も適切な判断がしやすくなります。
自分で被害状況の証拠を取るのが無理な場合や恐怖を感じる場合、探偵にストーカー被害の証拠を集めてもらうのもひとつの方法です。