現代は、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなど、老若男女を問わず誰もがネットで他人とつながることのできる時代です。
そんな中で急速に増えているのが、「ネットストーカー」です。
インターネット上でのつきまとい、誹謗中傷、個人情報の特定など、その被害は多岐に渡ります。
このネットストーカーがひときわタチが悪いのは、相手の素性が見えにくく、匿名ゆえに罪悪感が希薄で行為がエスカレートしやすいこと。
ネットを使っている限り、誰もが標的になる可能性があります。
ここでは、
について、詳しく解説していきたいと思います。
ネットストーカーとは、インターネット上でメール・SNS・ブログなどを利用して、特定の人物にしつこくつきまとうなどのストーキング行為を行う人物のことをいいます。
物理的なストーカー事案では、行き過ぎた好意によるつきまとい被害が主ですが、ネットストーカーでは好意によるつきまといの他、執拗な誹謗中傷やプライバシーの暴露などが目立ちます。
具体的には、
などが挙げられます。
[被害実例1]2019年、20代の男が地下アイドルの自宅をネットでの動画配信などから特定、自宅に押し入り強制わいせつ未遂事件を起こした。
引用:「瞳に映った景色」からアイドルの自宅を特定した男「驚愕の手口」
この事件では、アイドルの写真の瞳に映った景色で最寄り駅を特定、動画配信中のチャイムの音でマンションの部屋を見つけたという。
[被害実例2]2016年、シンガーソングライターの女性が元ファンであった男に20箇所以上を刺され、重体に陥った。男は女性のSNSに執拗に好意と、嫉妬による誹謗中傷の書き込みを繰り返していた。
引用:小金井ストーカー殺人未遂事件
[被害実例3]2016年、女子高生がLINEで知り合った20歳の男から執拗にメッセージを送られ、ブロックしたものの、 それまで話していた個人情報をもとに事実無根の噂を流されるなど嫌がらせを受けた。
引用:増える「ネットストーカー」 SNS普及で中高生被害
ネットの世界は大半が匿名です。
そのため、まったく面識のない人物が急にネットストーカーになる可能性が高いです。
匿名ゆえに、物理的なストーカーと違って素性が掴みにくく、一度狙われると厄介なことになりかねません。
ネットストーカーから身を守るための5つのポイントをご紹介します。
基本的にSNSで個人情報を出すのはNGです。
特にX(旧Twitter)やInstagramのような不特定多数向けのSNSでは注意が必要です。
個人情報というのは、自分や家族の顔写真、学歴や住んでいる地域といった細かな情報だけではありません。
など
SNSは公開を制限しない限り、世界中にいる不特定多数に自分の情報を垂れ流すことになります。
ネットストーカーは基本的に面識のない人物による行為であることが大半です。
知人や限られた人にだけ公開する、アカウントの鍵を付けるなど、不特定の第三者をなるべく排除することが、ネットストーカー被害に遭う確立を減らしてくれます。
ネット上だと「匿名だから」と、つい軽い気持ちで特定の団体や人をバッシングしたり攻撃的な発言をしてしまいがちです。
ですが、こうした攻撃をきっかけに、誹謗中傷系のネットストーカー標的になることが多々あります。
匿名性が高いとしても、相手への敬意を忘れず、軽はずみな発言は慎みましょう。
ネット上でのやり取りは、大半が「文字」です。文字だけだと表情が見えず、ニュアンスが伝わりづらいことがあります。
たとえば社交辞令のつもりで送った言葉を、相手が自分への好意だと受け取って、結果ストーキングにつながることがあります。
不特定多数とやり取りするときには、曖昧な物言いは避けるようにしましょう。
また、その人だけにそうしているわけじゃないとわかるよう、やり取りをする相手を限定しすぎないことも対策の1つです。
どれだけ対策をしても、SNSを使っている以上、ネットストーカーに狙われることはあります。
そんなときのために、SNSやメールのアカウントを複数運用しておくことをオススメします。
アカウントを分散することで、1つのアカウントが狙われ攻撃されても、そのアカウントを捨てて別のアカウントで運用を続けるという選択肢ができます。
また、アカウントを「○○用」「○○用」と趣味や人間関係ごとに分けることで、第三者に晒す個人情報も分散することができます。
執拗なメールやメッセージ、誹謗中傷などはすぐに消したくなってしまうかもしれませんが「ストーカー行為に当たる」ことを証明するために、スクリーンショットをするなどして保存しておくようにしてください。
相手がまったく知らない他人であれば、まずはブロックすることです。
大抵の場合、ブロックすることで察し、つきまといをやめるでしょう。アカウントに鍵をかけ、相手との関係をシャットダウンします。
ブロックしたあとも手を変え品を変えでつきまといを続けてくる、他の人へあなたの誹謗中傷を書き続けるなどの行為が続くような場合は、「証拠を保存している」「やめてくれなければ警察に届け出る」「アカウントの開示請求を行う準備がある」と警告しましょう。
いっそのこと、SNSのアカウントを削除してしまうのも1つの手です。
強制的に相手とのつながりを絶つことができます。
ただし個人情報がある程度特定されてしまっているような場合には、余計に刺激を与えて実生活に影響が及ぶこともあるので、慎重に考えてください。
行為が続くようであれば、早めに警察や弁護士など専門機関に相談しましょう。
ネット上とはいっても、個人情報を突き止められることによる物理的なストーキングへの移行や、個人情報の流布など、行為はどんどんエスカレートしていく可能性もあります。
物理的なストーカー相手であってもそうですが、相手を刺激しないことが大切です。
極端に相手を罵ったり、応酬すればするほど、相手の気持ちを高ぶらせて行為はエスカレートしていきます。
無視をしながら、証拠だけを徹底的に積み上げていきましょう。
ネットストーカー被害に遭わないに越したことはありませんが、SNSが普及し生活の一部になっている以上、いつ被害に遭ってもおかしくはありません。
被害に遭っているかもしれないと思ったら、たとえ確信が持てなくても、証拠を残しておくことを心がけてください。
警察や弁護士に相談するときも、また相手を特定するために発信者情報開示請求をするときも、「嫌がらせを受けている」「名誉を傷つけられている」という確固たる証拠がなければ動いてもらせません。
また、ネットストーカーは、個人情報を特定することで実生活を脅かすこともあります。
そのときにはネット上だけでなく、実生活でのストーキングの証拠も一緒に押さえておく必要があります。
物理的なストーキングの証拠取りは、探偵事務所や興信所に相談してみるといいでしょう。