


子供が就職しておらず、親の扶養に入っているときに加入している社会保険は「国民健康保険」か「健康保険」かのどちらかでしょう。これらを医療保険と呼ぶこともあります。
こうした公的な医療保険は病気やケガをしたときに、保険を取り扱ってくれる病院等へ保険証を提示すれば、医療費を自己負担するのは3割だけで済みます。
年齢によってこの自己負担率は変わりますが、3割を超えて負担することはありません。
では、その子供の健康保険(医療保険)は、離婚したときになにか特別な手続きは必要なのでしょうか?
必要だとすれば、どんな手続きをしたらよいのでしょう?
また、公的な医療保険だけではなく、民間の学資保険・個人年金や任意保険に加入していた場合は、離婚するときにどんな手続きを行えばよいのでしょうか?
これから順番に説明していきます。
子供がいて、かつ離婚をするという方にはぜひあらかじめ目を通していただきたい内容です。

健康保険(医療保険)については、子どもの出生後、出生届の提出とあわせて健康保険の加入手続きを行っている方が多いでしょう。
出生届の提出期限は出産日を含め14日以内とされていますが、健康保険の加入手続きも出生後できるだけ早めに行うのが一般的です。
手続きは、出産直後の保護者本人に限らず、配偶者や同居の家族などが行うこともあるため、詳細を覚えていない方も少なくありません。実務上は、世帯の状況や加入している制度に応じて、国民健康保険に加入するか、会社の健康保険で被扶養者として加入するかが決まります。
また、2026年施行の民法改正により、離婚後の親権は共同親権も選択できるようになります。
以下では、この制度変更を踏まえたうえで、単独親権を選択した場合、または共同親権を選択している場合であっても健康保険上の扶養者が変更になる場合に、どのような手続きが必要になりやすいかを整理します。
もし子どもの主な生計維持者が、離婚をきっかけに夫側から妻側へ変わる場合は、夫側の健康保険で子どもの被扶養者の資格を外し、妻側の健康保険であらためて被扶養者として加入するといった手続きが必要になることがあります。
同居中の夫婦では、共働きで妻が経済的に自立している場合でも、健康保険上の子どもの被扶養者は夫側で取り扱われているケースが多く見られます。
離婚後は、子どもと同居して主に監護する親が母となることも少なくありませんが、同居の状況にかかわらず、妻が親権者になったからといって、健康保険の扶養が自動的に切り替わるわけではありません。
そのため離婚に伴い、子どもの生活実態や生計維持関係に応じて、「夫の扶養から外して妻側(または別の保険)へ切り替える」などの手続きが必要になることが多いのです。
夫婦ともに企業に勤めていれば、夫の方の健康保険に被扶養者として子供が加入されていることが多いでしょう。
そのため、夫が勤めている企業を通して「健康保険被保険者異動届」という書類を提出し、子供を扶養から外します。またその企業に、子供の分の保険証を返却しましょう。
返却が出来たら、妻の勤め先企業の担当部署に提出し、妻の健康保険に被扶養者として加入できるよう、必要な手続きを行います。

夫がサラリーマンで、妻が自営もしくは無職だった場合は、夫の勤め先企業の健康保険の扶養から子供を脱退させたあとに、妻を世帯主とした国民健康保険の加入手続きが必要です。
国民健康保険は、世帯主名で管理しているので、離婚したあとは妻を世帯主として、子供を被扶養者とする手続きを行いましょう。
夫の勤め先企業で、子供を扶養から外す手続きをしたあとに、妻はお住まいの自治体の役所の窓口で、自分国民健康保険は世帯主の変更手続きを行い、子供は国民健康保険の加入手続きを行います。
夫が自営もしくは無職で国民健康保険に入っていて、妻が企業に勤め(パート・アルバイト含む)で社会保険に加入していた場合。
夫の国民健康保険に被扶養者として子供が加入していた場合は、まず最初に妻が勤め先企業を通して健康保険に子供を扶養に入れる手続きを行います。こちらも「健康保険被保険者異動届」をだします。
その後、新しい保険証が届いてから、役所の窓口で子供を国民保険から脱退させる手続きを行います。
新しい保険証は、国民健康保険の脱退時に必要な書類ですので、先に健康保険に加入する順番になります。
夫の国民健康保険から脱退し、妻の国民健康保険に被扶養者として加入させる場合は、役所の窓口で異動の手続きを行います。
妻を世帯主とした国民健康保険の加入手続きとなります。
離婚をすると住所や名前、世帯主などが大きく変わりますので、離婚の際には女性も子供と同じタイミングで忘れずに保険の手続きを行いましょう。

妻が加入している保険が、任意継続の健康保険だったというケースもあるでしょう。
任意継続の健康保険とは、務めた企業を退職したあとでも、継続して2年間健康保険に加入できる制度です。
保険額は退職時の報酬月額で決められ、保険料は原則その2年間変わりません。
また、任意継続の健康保険でも、収入の無い子供であれば問題なく扶養者として加入できます。申請書類や必要な添付書類については問い合わせてみましょう。
離婚後、夫が国民健康保険・もしくは健康保険の場合によっては手続きをスムーズに行うために必要な手順が変わることがあります。
共働きでないときは、子供とともに女性も夫の扶養に入っているのではないでしょうか。
その場合、離婚すると夫の扶養から外れることになるため、自身の保険は新たに加入し直すなどの手続きが必要になります。
また名字が変わる方、転居される方も多いですので、自分が加入している社会保険については勤めている会社や、住んでいる自治体の窓口に早めに問い合わせしてください。
健康保険(医療保険)の他に、国民年金などにも入っているはずですので、まとめて変更の手続きをしましょう。
妻が親権を持ち、子どもと同居して離婚する場合、子どもの健康保険は必ず妻側の扶養に切り替えなければならないと思われがちです。
しかし実際には、子どもをどちらの健康保険の被扶養者にするかは、子どもの生活実態や生計維持の状況を踏まえて、加入している健康保険の基準により判断されます。
たとえば、離婚後も夫が子どもの生活費を継続的に負担しており、保険者が「夫が主に生計を維持している」と認める場合には、子どもを夫の社会保険の扶養に入れたままにできることもあります。
「養育費を支払っているかどうか」という点も重要ですが、金額・支払いの継続性・子どもの収入状況・実際の生活費負担の実態など、総合的な事情で判断されます。
また、離婚前に「子どもは夫の扶養」「妻は自分の社会保険に加入」という状態だった場合でも、離婚後の状況によっては、子どもを夫の扶養のまま継続できるケースがあります。
一方で、子どもの健康保険に関する変更手続きが必要になった際、夫側の勤務先を通じた手続きが必要になるため、離婚後は連絡の手間が生じることがあります。将来の手続き負担も踏まえて、どちらの扶養にするかを検討するとよいでしょう。

離婚協議が揉めている場合、また、離婚をしても子供を手放すことを認められないという感情が強い場合、夫が健康保険(医療保険)から子供の扶養を外す手続き(資格喪失手続き)を進めてくれないことも十分に考えられます。
子供の健康保険証を夫に渡してしまった後ですと、子供を病院に診てもらうときに当然保険証がないため、治療費が全額自己負担となってしまう可能性があり、困ってしまいますよね。
そのような場合の対処法として、次の3つがあります。
内容証明に法的強制力はありませんが、行政書士や弁護士などの第三者に頼むことで夫への圧力となり、手続きを促しやすくなります。
企業側は被保険者や被扶養者に変更が生じた場合、必要な手続きを取る義務があるので、手続きに動いてくれる可能性が高いです。
お住まいの市区町村の役所の窓口に相談することで、役所の方から夫へ手続きの変更を促してもらうなど、サポートを得ることができます。
また、役所では資格喪失証明書がなくても特例的に国民健康保険の加入手続きをしてもらえることがあります。
この場合、もともと加入していた健康保険証のコピーがあると、スムーズに手続きがしやすくなります。

現代はシングルファーザーもわずかながら増えてきています。離婚した時に夫が子供の親権を取得し、子供と同居する場合ですね。
夫の世帯の国民健康保険・健康保険に子供を扶養者として加入しているのならば、特に健康保険(医療保険)について新しい手続きなどを行う必要はありません。(ただし、転居した場合などは住所の変更手続きが必要になることもあります。)
妻を扶養していれば、離婚する際にその妻だけを扶養から外す手続きを行いましょう。
離婚を機に両親や兄弟と同居したときには、その親族を自分の保険に扶養者として加入することもできますので、扶養できる者の条件についてをよく確認してみてください。
医療保険や年金保険などの社会保険は、夫の扶養家族から外れた時点で、新たに加入の手続きを行えば問題ありません。
離婚する際に、自治体の窓口でどうすれば良いか質問すれば、丁寧に教えてくれるでしょう。
では、民間の個人年金や学資保険、その他の任意保険に加入していた場合、その保険はどうなるのでしょうか?
この3つの保険いずれかに加入していて今後も保険契約を継続したい場合は、保険の契約名義を親権者となる方の親の名義に変更しましょう。
もともと、親権者となる方の親の名義で契約していたものならば、特に変更の手続きは必要ありません。
変更すると、保険料の支払いはこれからはもちろん親権者がおこなうことになりますので、離婚協議によって非親権者が支払い続けることに決めたのであれば、変更することもありません。
ただし、その場合はお祝い金やお見舞い金なども保険料を支払っている非親権者が受け取ることになりますので、契約内容を見直し、変更が必要な個所は必要に応じて手続きを行いましょう。
実は、子供の学資保険などは、離婚時の財産分与に含まれています。
原則として、子供の学資保険なども、結婚中に夫婦双方の協力によって築かれた財産ということで財産分与の対象になりっているのです。
ですが勝手に解約し、現金化して財産分与してしまうのは早計です。
学資保険は子供の将来のためのお金であることから、財産分与に含めずに親権者となる方が受け継ぐということもできます。
なお各項目の変更も解約も、契約者本人がいなければできません。契約者が自分ではない時は、相手と話した上で手続きをすすめましょう。
離婚する際に話し合う財産分与については下記のページを参考にしてください。
こういった保険については、どうしても家や車よりも目立たないものです。離婚後どう扱うかは、離婚の際の協議に依るところが多いので、子供のためにしっかり話し合いましょう。
離婚の際には行わなければいけない手続きは沢山ありますが、その中でも、子供の保険の加入や名義の変更の手続きについては忘れずに行いましょう。